日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2019年12月18日長い話が生産性を低くする


皆さんの職場には話が長い方はおられませんか?



私の経験では、聞き手に「この人、話が長いなぁ~」と思われている人がどの職場にも数人以上います。

本来短くできる話を長い時間をかけて話すことは、話している間、聞き手の時間を奪ってしまいます。

それだけでなく、長い話は結局わかりにくい話になってしまいます。

また、長時間聴いているうちに聞き手の集中力もなくなってきます。

そのため時間をかけても相手にきちんと伝わっていないという結果になってしまいます。

長い話はコミュニケーション・コストを高めており、このことが日本の生産性を低くしている原因の一つだと思っています。

では、どうすれば話を短くできるのでしょうか。

物事には、その問題が発生している原因があり、その原因をつかまないと効果的な打ち手は打てません。

以下に私が考える、話が長くなる原因とその対処法を述べます。

 

話が長くなる原因は、主に次の3つです。

① 話しが伝わったという実感がない

このタイプの人は、伝えたいことはある程度決まっています。

しかし、話しているうちに「これではうまく伝わらないな」と思い、言い方を変えて同じ話をします。

それでも「伝わっていない」と感じてしまい、また言い方を変える、ということを何度か繰り返すのです。

こういう人は、まず話をしてから相手に「私が言いたいことはわかりましたか」と確認するといいでしょう。

また、聞き手は、相手がひとしきり話をしたら「あなたが言いたいことは○○ということですね」と言ってあげるとよいでしょう。

相手に伝わっていれば繰り返して話すことはありませんし、伝わっていない部分があればその部分を補足するだけで済みます。

② 頭に浮かんだことをすべて話そうとする

あることについて話そうとすると、頭に色々なことが同時に浮かんでしまい、それをすべて話そうとするタイプです。

相手にとっては不要なことでも、自分は言わないと気が済まないので、話が長くなってしまいます。

このタイプの人は、まず短く話さねば相手に迷惑をかけてしまうという、「相手ありき」の意識を強く持ちましょう。

その上で、今話さねばならないことに絞って話すようにします。

ロジカルシンキングの世界では、Must(必要なもの)とNice to Have(あればよいもの)という概念があります。

これを応用して、相手にとってMustなものを話し、大丈夫そうならそれに関連するNice to Haveも話す、という意識を強く持つことで話を短くすることができます。

③ 話しているうちに頭に浮かんだことをそのまま話す

あることについて話しているうちに他のことが頭に浮かんでしまうので、「でもね~、この場合さぁ、・・・」と言葉を継いでしまうタイプです。

発想が次々に湧くことは素晴らしいことですが、それを次から次に口にしてしまうので、話が長くなってしまいます。

場合によっては、聞き手は話の展開について行けず、置いてきぼりになってしまうこともあります。

こういう人は、今何について話しているのか、という論点を常に意識するとよいでしょう。

ビジネス会話では、だいたい話の論点というものがあります。

次々に頭に浮かんだことを話す人は、この論点を次々に変えてしまう、という点でもやっかいです。

聞き手も、「今、○○について話しているから話を戻そう。」というように論点のずれを修正すると良いですね。

 

ところで、いくら長い話でも、聞き手が途中で「ストップ!」や「あのさぁ」などの言葉で話を遮るのは好ましくありません。

この人との人間関係を無用に悪くしてしまいます。

私は人に話を止めてもらう時は、その人の目を見ながら手を挙げます。

すると、話し手は何があったんだろう、と勝手に話を止めてくれます。

それから「つまり○○ということが言いたいのですね。」などと言葉をはさむと、お互いに無用なストレスを感じなくて済みます。

 

話を短くするには、上記以外にも前置きを短くするなども有効です。

ぜひ「必要なことを、必要な時に、必要なだけ話す」ことを意識して、コミュニケーション・コストを下げましょう。

 
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